『お客様が応援したくなる飲食店』になる7つのステップ

     同文舘出版
     同文舘出版

 「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ(同文館出版)

        ≪2015年2月25日既述(Amazon)≫ 

 小さな飲食店はもちろんのこと、農業、食品事業者で経営に行き詰まっている方々に伝えるために書いた本です。

 今、世の中を見渡しますと多くの事業者が、集客のために『表層的な広告宣伝』ツールに頼っているように思えます。資金が豊富な事業者には、この手法も現実的なのでしょうが、多くの小さな事業者は、そうではありません。
 また固定客を獲得すれば未来永劫、固定客であるかの錯覚を持っている事業者もいらっしゃいます。

 私は本書を通じて、小さくてもしっかりと事業規模を維持しながら成長できる『応援客』の獲得の重要性をお伝えしたいのです。

 いま思い返せば私は、幼少時の物心ついた時から、食品や飲食業界に非常に身近な場所で生きてきたのだなと思います。
 トヨタ自動車で働いていた父が、3歳頃に他界したため、母親方の兄弟姉妹に可愛がれて育てられました。身寄りのない子供達が生活する児童福祉施設にお世話になっているときもずっと、母親方の兄弟姉妹に面会等を通じて可愛がってもらいました。
 児童福祉施設で過ごす高校生の頃には、給食という大量調理を学習しました。栄養士が居て食材原価を鑑みながら献立を立案し、その献立に基づいて数百人の食を賄う調理のお手伝いを、関心を持って自発的にお手伝いしたり、のぞき見したりしていたことを思い出します。
 母親方の兄弟姉妹7人は全員飲食業や食品業界人です。母親は大阪の某所で喫茶店やスナック経営をしていましたし、母親方の兄弟姉妹は皆、長野県や大阪等々の広域で居酒屋や寿司屋を経営してきました。

 また母親方の姉妹が嫁いだ先は大手加工食品企業の役員方であったり、とにかく私の身内はとても、食品や飲食業界に所縁があるようです。

 そんな私もアルバイトをする頃になると、もちろん、身内が経営する居酒屋や寿司屋さん等々でしたし、大学を卒業後も迷わず馴染みのある食品や飲食業界に身を投じてきたものです。

 現在は『春菊のシンプル・べジ』という名称で農作物を栽培し販売したり、一方で一般社団法人エコ食品健究会(中小小規模な食品や飲食事業者252社の会員組織)の代表理事として会員企業に(環境や健康をテーマにした)マーケティングや経営の講義をしたり、更には、これらの実践で身に付いたノウハウやナレッジを『農業/飲食/食品 マーケティング実行支援コンサルタント』として会員外のクライアント先に指導したり、とにかく休む暇を惜しむくらい、楽しく働いています。

 この幼少から今に至る約40年、本当に多くの食品や飲食事業者の栄枯盛衰を目の当たりにしてきました。『あんなに賑わっていたのに今や閑古鳥・・』『あんなに暇そうだったのに今や大繁盛』『あんなに大繁盛していたのに今や面影もなくお店が無い』等々、沢山の事業者の嬉しい悲鳴、哀しい悲鳴を目の当たりにしてきました。

 その結果、繁盛している食品や飲食店には、閑古鳥が鳴いている食品や飲食店には持ち得無い『1つの大きな力(ちから)』が宿っていることに気付きます。
 それが本書のタイトルにもある『応援』という力(ちから)なのです。

 栄枯盛衰な姿と言えば、1番印象深く残っているのが、私の母親の経営する喫茶店やスナックの姿です。4歳か5歳の頃でしょうか。母親が、自ら経営するスナックの客席に座りながら、私や弟の前で泣きじゃくっていた哀しい光景。今でも鮮明に事あるごとに思い出します。

 当時のことを母親に尋ねたことがあります。そうすると母親は『最初の経営に失敗し借金だけが沢山残った哀しい日だった』と教えてくれます。もう一方で『生きている中で1番嬉しい日だった』とも言ってくれました。私も子供ながらに微かに覚えているのですが、ある言葉を母親にその時に語ったと言います。その言葉とは次の言葉です。
『僕がママを助ける・・』

この言葉は何を意味しているのでしょうか。
 今の私にはわかります。母親の頑張りを目の当たりにして、心の底から、困っているママに『ちからを貸して助けたい!』と思ったのだと思います。

 母親はこのように言ってくれました。
『その後の再起の原動力になったのだよ・・』

 

 1人でも多くの飲食店や農業、食品事業者が、この応援されるという仕組みのメカニズムを理解され、自らの経営に活かしていただけることを願ってやみません。
 そして、どうか早く、固定客獲得という表層的な顧客管理から、実のある『応援客』の獲得を実現する事業者に成長していただきたいと思うのです。